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本当にあった話
〜「ビジストNEWS」連載〜
「ビジストNEWS」2008年8月号掲載
兼業している社員を処分できるか?
Q
兼業している社員を処分できるか?
当社の就業規則には、兼業禁止をうたっています。違反した場合は、懲戒処分できることになっています。しかし、実際は、会社の業務に影響がない範囲のものであれば、不問にしてきました。ところが、最近 A君が遅刻、欠勤をたびたびするので、調べてみたところ、深夜接客業のバイトをしていることが判明。
A君には、戒告処分を行い、それでもバイトをやめない場合は、懲戒解雇しようと思っています。
▼
A
懲戒解雇は妥当ではない
最近は、週末起業やネットビジネスなど副業の選択肢も広がってきています。
副業を就業規則で禁止している会社も多いと思います。
「副業禁止」は労働基準法にはありません。就労時間外に社員が何をしていようと、本人の自由であり、規制することはできません。しかし、ご質問のように、深夜バイトのため、本業の会社の勤務に影響を及ぼすような場合は、見過ごすわけにはいきません。ある一定の範囲をもって、兼業禁止を行うべきだと考えます。
例えば、副業により疲労蓄積があり、本業でのミス、遅刻、欠勤が多くなったとき、会社の評判を落とすと判断される副業、競合他社での副業、会社の機密情報漏洩の可能性がある副業など。
そこで、副業に対しては、就業規則で全面禁止ではなく、
「許可なく副業を行うことを禁止する」
として、副業を会社に報告し、会社が問題ないと判断したうえで、許可を与えるという方法が良いと思います。
質問のA君の処分は、違反の内容と処分の程度がバランスのとれたものでなければいけません。重い処分を科すには、それなりの相当性が必要です。遅刻、欠勤の頻度にもよりますが、バイトを辞めないという理由だけで懲戒解雇するのは、不当と判断される可能性が高いと思われます。
なお、パートタイマーなどもともと勤務時間が短い人は、業務への影響は少ないと考えられますが、情報漏洩の問題もあり得るため、会社が他の就業を把握するためにも、
「届出制」
とするのがいいでしょう。
「ビジストNEWS」2007年12月号掲載
休日出発の出張は休日労働か?
Q
東京支店の社員に、月曜日の朝、大阪本社での会議に出席するように命じました。そのため、社員は前日の日曜日に移動することになりますが、これは休日労働になるのでしょうか?
▼
A
仕事のために、休日に移動しなくてはいけないのですが、これは
休日労働にはなりません
。出張の移動時間が、労働時間だと認識されない限り、労働時間として取り扱わなくても良いのです(通達より)。移動中は寝ていても本を読んでいても何をしていても自由な時間ですから、労務提供しているとはみなさないのです。しかし、商品である宝石を運ぶために常時監視が必要であるなどの特別の場合は、労働時間とされ、休日労働となる場合があります。休日労働にならないといっても、実際には休日に移動させられるわけですから、社員にとっては負荷がかかっていますので、休日移動について日当を支給するなどで対応している会社もあります。
「ビジストNEWS」2007年11月号掲載
退職時の誓約書は有効・・・?
Q
元幹部社員が退職日翌日からライバル会社で働き始めたことが分かりました。当社では退職の際に、「退職時の誓約書」を書いてもらいます。そこには競業避止義務も明示されていますが、このような場合、元幹部社員に損害賠償請求できるものでしょうか?
▼
A
支店長や統括部長を歴任し、経営戦略を知る地位にあった元幹部であり、誓約書の内容からも損害賠償請求は可能。
社員の退職後に競業避止義務を定めている会社は多いのですが、定めていれば無制限に退職後の競業を禁止できるわけではありません。
競業避止を定めていても実際に競業を禁止できるのは、合理的な範囲に限られるという判例が出ていることからも明白です。と言っても、重要な地位にいた社員がライバル会社に簡単に転職するとなれば会社存亡の危機に陥ることもありますから、規定しておくほうが良いでしょう。
ポイントは・・・
(1) 対象となる在職中の地位
(2) 禁止される範囲(業種、場所、期間など)
(3) 代償措置の有無
が規定されているかどうかです。
「ビジストNEWS」2007年10月号掲載
定年後の嘱託社員の有給休暇は・・・?
Q
法改正に合わせて60歳以降の継続雇用制度を導入しました。60歳で一旦定年退職し、退職金も支払いました。しかし、引き続き嘱託として働いてもらう予定です。この場合、有給休暇は嘱託へ切り替えた日から新たに発生すると考えれば良いのでしょうか?
▼
A
社員から引き続き継続して有給休暇を発生させなければならない。
通常は退職によって、年次有給休暇(年休)の権利は消滅します。しかし、定年後の再雇用などで雇用契約が変更になっても、引き続き空白の期間を置かずに勤務する場合は、継続勤務しているものとし、年休の権利も継続します。たぶん、この方は毎年法律の上限の20日分の年休が発生していたと思われます。嘱託に切り替わった時点で、再カウントする必要はありません。退職金の支払いの有無、契約変更の有無に関係なく、年休の付与を行って下さい。ただし、定年後、数ヶ月休んで、再度、会社に戻ってきたような場合は、継続勤務とはせず、新たに勤務後6ヶ月経過してから年休を付与して下さい。
「ビジストNEWS」2007年9月号掲載
ライバル会社の元社員を採用したら・・・?
Q
ライバル会社で勤務していた社員を採用しようと思っています。ただ、当社でも就業規則には退職後の競業禁止等を定めていますので、ライバル会社でもそのような規定があるかもしれません。この社員を採用すると損害賠償を請求されることがありますか?
▼
A
社員を普通に採用したような場合は会社に損害賠償責任はないでしょう。
今回の社員と前の勤務先との間で競業への就職はしない旨の約束を交わしていた場合、賠償責任が生じるのは社員本人に限られ、採用した会社には賠償責任は生じません。しかし、不正競争防止法では、企業の営業機密の不正取得等を不正競争行為として禁止していることから、不正競争行為が行われたと認められた場合は、損害賠償請求も可能となります。
よってライバル会社の社員に対して一斉に、しかも大量に転職の勧誘を行うなど、社会的にみて問題がある行動はしないようにしましょう。そうでない限り、通常のヘッドハンティングや偶然応募してきた社員がライバル会社の元社員だったような場合は問題ありません。
「ビジストNEWS」2007年8月号掲載
代休取得希望日を変更することは可能か?
Q
休日出勤した場合、1ヶ月の範囲内で代休を与えています。代休日については本人が希望日を申請し、会社が許可する方法をとっています。ところが、代休日にどうしても出勤してもらいたい業務が入りました。代休日を変更することは可能でしょうか。
▼
A
原則は
不可
。就業規則に定めていれば可。
代休は、労働基準法上必ず与えるべきものではありません。代休とは、労働者が休日に出勤した場合に、その代償として
事後に
休みを与えることいいます。休日出勤が事前に分かっている場合は、前もって休日を変更することが可能です。それを
振替休日
といいます。
代休と振替休日の違い
は、代休だと休日出勤したことで、
割増賃金
が必要になりますが、振替休日の場合、日曜に出勤し、水曜を休みとする、同じ週で変更した場合は、割増賃金が発生しません。代休を与えるためには、就業規則作成や労働協約を結ぶ必要があります。就業規則に「代休取得の許可後、業務の都合により、取得日を他の日に変更することがある」旨の記載があった場合は、代休日の変更が可能になります。
「ビジストNEWS」2007年7月号掲載
退職した社員から給料日前に支払い要求が・・・?
Q
弊社の給与は、20日〆の末払いです。
6月30日付で退職した社員がいるのですが、7月2日にFAXで3日以内に残りの給与を口座に振込むように・・・という内容の文章を送りつけてきました。
給与計算の時期ではないのですが、どうしたらいいでしょうか。
▼
A
7月2日から7日以内に支払う必要があります
。
法律上、労働者から退職に際して請求があった場合、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないことになっています。社員の依頼通り3日以内にする必要はありませんが、請求があった7月2日から7日以内には支払いをしなければなりません。もし、給与額等に関して会社と社員との間で意見の相違がある場合は、会社として意義のない部分については請求から7日以内に支払わなければなりません。
ちなみに、退職金などの退職に関する手当は、あらかじめ就業規則等に定められた支払い時期に払えばよいことになっているので、請求があっても規定通りの運用で構いません。
「ビジストNEWS」2007年6月号掲載
退職前の有休消化、拒否できるか?
Q
営業のAが、有休の残り30日分を消化して退職したいと言ってきました。当社は、退職届は退職日の30日前に届出ることとしているのですが、そうなると、明日から出勤しないで有休消化ということになります。他の社員の手前拒否したいのですが。
▼
A
結論から言うと、
拒否できません
。法律上、労働者からの有休休暇の請求があったとき、会社は時季変更権(別の日にしてくれと言える)がありますが、退職する場合は、変更できる日が在籍している日迄なので、質問のケースでは、変更日がないので行使できないのです。但し、実務上は、引継ぎもせず有休消化されては困りますので、対策として、就業規則に「退職日からさかのぼる2週間は現実に就労しなければならない。これに違反し、会社の業務に支障をきたした場合は、懲戒処分を行う。(又は、退職金を減額する)などの規定を定めて、社員に出社を促すようにしましょう。消化できなかった有休は退職時については買い上げても違法ではありません。買い上げの金額については、法律で定めがないので、会社が決定できます。
「ビジストNEWS」2007年5月号掲載
パートの勤務時間を短縮したら、休業手当?
Q
受注量が減ってきたため、パートの出勤調整をする必要がでてきました。受注が増えるまでの間、
(1)週5日勤務を週3日とする
(2)1日7時間労働を4時間とする、のどちらかで対処しようと考えていますが、短縮した分について休業手当を支払わなければならないのでしょうか?
▼
A
結論から言うと、
休業手当が必要
になります。
労働基準法 第26条 (休業手当)
「
使用者の責めに帰すべき事由
による
休業
の場合においては、使用者は
休業期間中
、当該労働者にその平均賃金の
100分の60以上
の手当を支払わなければならない」
ここで言う「休業」とは、労働契約上の労働義務のある日に労働者が働く意思があるのに、働けない状態のことです。
ですから、会社側から週の労働日数を減らす、労働時間を減らすことは、休業に当てはまります。受注量が減ったのは、会社の意図するところではありませんが、「使用者の責めに帰すべき事由」になります。不可抗力な天災事変以外の景気悪化、業績不振などは全て会社都合の休業と解釈されるのです。
「ビジストNEWS」2007年4月号掲載
派遣社員を派遣先が懲戒解雇できるか?
Q
顧客からの注文受付業務を派遣社員が担当しています。もし派遣社員が顧客データの持ち出しなど不正行為を行った場合、当社において懲戒処分を行うことは可能か? また派遣社員にも守秘義務契約書を提出させたいのですが問題ないでしょうか?
▼
A
懲戒処分は、雇用契約を前提にして生じるものなので、御社と派遣社員には雇用関係がありませんので、処分することはできません。
ですから、派遣会社に対して教育徹底をうながす。交代要員の請求をする。派遣契約を解除する。派遣会社、派遣社員に損害賠償を請求するなどが取り得る手段になります。
守秘義務誓約書も同様に、派遣社員に提出を強制することはできません。したがって、御社と派遣会社との労働者派遣契約に、派遣労働者が情報漏洩した場合は、派遣会社がその損害を賠償する旨の定めをおき、さらに、派遣会社に対して、派遣会社が派遣労働者から派遣先での守秘義務に関する誓約書をとるように要請しましょう。
「ビジストNEWS」2007年3月号掲載
始末書を提出しない社員を処分することは可能か?
Q
業務命令違反があった社員に、その謝罪などについて始末書の提出を命じましたが、本人は提出を拒否しています。始末書の提出拒否を理由にその社員に何らかの懲戒処分を課すことは可能でしょうか?
▼
A
「始末書」とは、一般に、違反行為者がその行為についての謝罪と、今後、同様の行為を繰り返さないことの誓約の意思表示を行うものとされています。始末書の提出を求めること自体は、違法となるものではありませんが、提出を強制できるかという点に関しては、個人の良心の自由に関わる問題であるとして多くの判例で認められていません。雇用契約はあくまで労働力の売買であり、労働者の意志や感情までもを対象としているわけではないからです。従って、提出拒否を理由に懲戒処分をすることはできないと考えるべきですね。
今回のような謝罪や誓約を伴う始末書ではなく、違反行為の顛末や単なる事実経過を報告させる「顛末書」や「経過報告書」などについては、業務命令の一環として、会社は提出を命ずることができますので、事実関係を明確にするためにも本人にかかせるように指示しましょう。
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