2018-07-20

【社員を活かす社長の視点】第3話:社員が言う「やる気が上がらない」のウソ

ビジネススタイリスト代表の大西美佳です。

こんな上司だから、こんな会社だから、ボーナスが少ないから、給料が低いから、つまらない仕事だから、風通しが悪い部署だから、販売体制が整っていないから、
○○だから「やる気が上がらない」。社員がよく言う言葉です。

社長も、社員のやる気をあげて、成果を出させたい。やる気を出させれば、やってくれるはず。そう、やる気があれば、仕事に真面目に取り組み、成果もでるはず。目標達成するには、やる気を起こさせ、やる気を維持させることだ。だけど、今どきの社員は、仕事に対するやる気が薄い。なんだかふわっとしている。上を目指そうという気概のある社員が欲しい。どうしてあの社員はやる気がないんだろう。

私たちは、仕事への熱意や勤務態度、成果が低い社員に対して、やる気がない、又はやる気が低いと判断します。そして、やる気をださせるためのアプローチを考えます。
励ます、褒める、アドバイスをする。仕事のやり方を教えてあげる。あとは、やる気をだせ!がんばれよ!君ならできる!というメッセージを発します。それでもやる気が上がらない社員には、しつこく何度も同じことを言います。そして、動かないとき、あいつは何度言ってもダメだと怒るか、あきらめるしかありません。

評価面談でも同じようなことが行われていることでしょう。上司が部下に、来期は○○してがんばっていこう!やる気だしていこう。もう少しがんばろう。
結果、また同じようなやりとりが繰り返される。そんな効果のない面談時間は無駄です。

やる気を高めるためのモチベーションアップ研修をやっても、その場はやる気が高まるとしても継続しないことが多い。
これは、テンションが上がるだけで、やる気の継続につながっていないからです。

なぜなら、人に「やる気」というものは、存在しないからです。

あたかも、やる気というエンジンがあれば、何でも前向きにやれるように勘違いをしています。
社長に褒められたからやる気がでた。というのは、全くのウソです。褒められる=やる気ではありません。

やる気がでたので→やる気になった→やる気になったが、なにも行動しなかったとしたら、それは、やる気がでたのではなく、一時的なテンションが上がったことにしかなりません。なので、社員のやる気を上げても、仕事の成果につながる結果は得られないのです。

成果を出すには、何か今までと違う行動をしなければ、結果はでません。ということは、社員が行動を起こしたかどうかを、社長は見極める必要があります。
つまり、やる気を高めるアプローチではなく、行動させるアプローチをとるべきなのです。

やる気に意識するよりも、行動に注目することです。行動したのかどうか、それを追及してください。やる気は意識の問題ですから、目に見えません。やる気で話をしても何も始まりません。

では、社員が行動するようになるには、何が必要なのでしょうか?

例えば、「夏休みに旅行に行きたいなぁ」と考えたとします。次にやる行動は、行先を考えることです。行先を沖縄にすると決めたら、日程、メンバー、交通手段、ホテル予約など具体的な行動に移っていきますね。それで、旅行に行くことができるのです。この場合の「沖縄に旅行に行った」という結果を得るために、やる気は必要ありません。一番始めに何があったから、旅行に行くという結果を得たのでしょうか。

それは、旅行に行きたいという「欲求」です。旅行に行きたくないのに、旅行に行ったらどうだと強く周りの人からすすめられたとしても、本人がそれを欲していなければ、人は絶対に行動しません。すべての行動は、本人の欲求が無いと始まらないのです。

社員の行動を引き出すために、社長や上司ができることは、社員の欲求を引き出すことです。欲求とは、~したいという願望です。仕事においては、スキルを向上させたい。売上を伸ばしたい。お客様を増やしたいなどの欲求が考えられます。これらの欲求を本人が持たなければならないのです。他人が操作できるものではありません。そう欲していないから、行動しないのです。冒頭の「やる気が上がらない」を正しく表現すると、「やりたくないから、やらない」のです。
会社は、社員のモチベーションを上げるのではなく、職場における社員それぞれの「~したい」を引き出すことができなければ社員の行動を変えさせることはできません。「~したい」は自発的でなければやらされ感となり、長続きはしません。反対に「~したい」がどんどん出てくるような組織であれば、やる気を刺激しなくとも、社員は自ら行動し、結果を出す組織に変わるでしょう。社員一人ひとりの行動を引き出し、加速させる仕組みを作りましょう。

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