【社員を活かす社長の視点】第1話:正当な評価をしたいという人事制度の間違い
ビジネススタイリスト代表の大西美佳です。
人事制度構築に着手する社長のほとんどは「やった者が報われる制度にしたい。」「給与にメリハリをつけてやる気につなげたい。」と考えます。
頑張っている者が正当に評価される仕組みが欲しい。うちにぴったりの制度を作ることができれば、社員がもっと納得感をもち、仕事にやりがいを感じ、成果に向かって邁進できるはずだと。
そこで、高額なフィーを払ってコンサル会社に人事制度作成を依頼し、立派な制度を導入したけれど、数年立てばなんだか違和感を感じ、また見直すことになる。そして、社員はまた「評価があいまいだ」「正当な評価を得られていない」と言い出す。
社長の思いは報われないことになってしまう。このような悪循環はどうして起こるのでしょうか?
適正な評価をしなければ、社員の不満は溜まる。そこで、労力とコストをかけて、適正に評価する仕組みを導入したとしても、結局は社員の不満は解消されないものなのです。
どういうことかというと、
「評価する」ということは、現時点での出来栄えのチェックであり、通知表でいえば、学期末時点での点数をつけることです。評価することが、会社の成長や社員のやる気につながるわけではないのです。現時点における直近半年または一年間のその社員の良し悪しを明らかにするだけのことです。だから、正しい評価をすることに注目し、評価の精度を上げても、実は意味がないのです。
社員の不満の代表である“評価されている”“評価されていない”を解決することよりも、会社にとって、本当に大切なことは個々の社員が成長することが、会社の成長に結びつくことです。この目的を達成する手段のひとつが、人事制度や評価制度なのです。社員の成長と会社の成長に直結しない制度は間違っています。
成長に結びつく制度の構築のためには、何が必要なのでしょうか。自社に合う人事制度を探すことでしょうか?有能なコンサルタントに依頼することでしょうか?
まずは、制度構築するという考えから一度目線を外すことです。
自社おける社員の成長とは何か、会社の発展とは何かという定義付け、まずは会社の存在意義である「目的」を明らかにすることです。
売上目標10億円!が成長発展の目的ではないはずです。
数値目標は単なる基準や指標であって、真の目的ではありません。
どのような顧客を創造し、いかにお客様に喜んで頂くのか、付加価値の高いサービスを提供することにより、社員が仕事にやりがいを感じ、自分の仕事に誇りが持てることこそが、会社の目的であり、その目的を達成する手段としてうまく機能することが、人事制度構築の目的ではないでしょうか。
人事制度が使えない、評価制度が実態に合っていない、評価があいまい、上司のさじ加減、何を評価されているのかわからない等、制度に関する社員からの不満を一つずつ解消したとしても、問題は解決せず、また新たな問題が発生だけです。
人事制度構築に着手する前に、まずは、会社の目的(ビジョン)を明確にするところから始めましょう!
次回、「経営理念の落とし込みが社員のやる気をそぐ」をお伝えします。